気になる前歯のガタガタ。その原因や治療方法を解説!

前歯は会話をしたり、笑った際に相手からよく見える場所です。若い方だけでなく、どの年齢層の方においても、口もとに関するお悩みで多いものの1つです。

前歯がガタガタであることは、見た目だけではなく、体全体に様々な問題を引き起こします。今回は前歯がガタガタになる原因やそのデメリット、具体的な治療方法を解説します。

前歯がガタガタになる原因

歯の並びがガタガタであることは、医学用語で「叢生(そうせい)」と呼ばれます。健康な歯が歯茎から真っすぐに生えているのに対して、歯と歯が重なったり、ねじれた状態で生えている状態のことです。出っ歯や八重歯も叢生の一種です。

前歯がガタガタになる原因はいくつかあります。

それぞれの歯の大きさが、顎の大きさに対して大きい

基本的に歯の生える本数は決まっているため、顎が小さいと歯は綺麗に並ぶことができません。例えるなら人が長椅子に等間隔で座っていたのに、人数は変わらず長椅子の長さだけが短くなってしまったようなイメージです。スペースが足りなくても座らなくてはいけないため、1人1人のスペースを確保できず、入り組んだような座り方になってしまいます。

また、顎の大きさに対して歯の大きさが大きいと、歯は綺麗に並ぶことができません。つまり生まれつき顎が小さくても、歯の大きさも小さければ問題無いということ。しかし顎の大きさは標準的でも、歯が大きいと並び切ることができず、重なり合うようにして歯が生えてきてしまいます。

先ほどと同じ例を挙げると、小さな長椅子に体の大きな人が何人も座ろうとするイメージです。スペースが足りなくても座らなくてはいけないため、入り組んだような座り方になってしまいます。ただ大きく長さも十分な長椅子であれば、体の大きな人が何人座っても1人1人のスペースを確保することができますね。

多くの場合、あごの未発達によるものは少なく、あごの小さい遺伝と大きめの歯の遺伝を両親から引き継いでいることが原因になります。

歯の生えてくる位置の異常

乳歯(=子どもの歯)から永久歯(=大人の歯)に生え変わるタイミングで、永久歯が本来の位置よりも奥側(舌側)から生えてくることがあります。これは歯の元となる「歯胚(しはい)」の位置異常によるもので、生えてくる位置によっては前歯がガタガタになってしまいます。

親知らずの向きの異常

親知らずは一番奥に生えてくる歯。親知らずの生え方はさまざまで、他の歯と同じようにまっすぐ生えてくることもあれば、手前の歯を頭で押すような向きで生えていることもあります。このような向きで生えていると、半分は歯ぐきに埋まっていてもう半分は歯ぐきから出ているなんてことも。あるいは親知らずが丸ごと歯ぐきに埋まっていて、肉眼では全く見えないなんてこともしばしばあります。

他の歯と同じように生えてくれば問題ありませんが、手前の歯を押すような向きで生えていると歯並び全体に力がかかり続け、前歯が押し出されるような形になりガタガタの歯並びになることがあります。

乳歯が早く抜けたこと(早期脱落)

通常、乳歯は永久歯に押し出される形で抜けるのが一般的です。しかし、小児では走ってこけるたり壁や柱にぶつかるといった外傷や、虫歯などで乳歯を早い時期に失ってしまうことがあります。

乳歯が抜けても、生える準備が整っていないと永久歯は生えてきません。永久歯が生えてくるまでの間そのスペースを放置しておくと、周りの永久歯が寄ってきてしまい、歯が生えてくるスペースを奪ってしまいます。しかし、生える準備の整った永久歯は何としてでも生えてこようとするため、本来よりも位置をずらして生えてきた結果ガタガタの歯並びになってしまうのです。

これを防ぐには、乳歯が早期脱落した際に、のちに永久歯が生えてくるためのスペースを維持しておくような装置(小児保隙装置)をつけておくことが必要です。

日頃の癖

  • 指しゃぶり
  • 爪を噛む癖
  • 舌を前に出す癖
  • 口呼吸 など

上記のような癖があると前歯に力がかかり続け、ガタガタの歯並びになる可能性が高まります。指しゃぶりの癖は、おおよそ2−3歳ごろには無くすようにしたほうが良いです。また口呼吸が癖になっていると、舌の位置が下がったり口周りの筋肉バランスが崩れたりすることで、前歯がガタガタになることがあります。

噛む力が強いこと

歯は元々、手前に少し傾いたような向きで生えています。噛む力が強いとその向きへ力がかかり続け、徐々に傾きが増していくことも。これによって前歯がガタガタになることがあります。

噛み合わせが悪い

噛み合わせとは、上下の歯を合わせたときの歯の接触状態のこと。噛み合わせが悪いと歯への力のかかり方がアンバランスになります。例えば上の前歯は綺麗に並んでいても下の前歯がガタガタであれば、上下の歯を上手く噛み合わせることができませんよね。これにより上の前歯も影響を受け、ガタガタの歯並びに近付く可能性があります。

ガタガタな前歯のデメリット

前歯が真っすぐ状態で生えていなくても、日常生活を支障なく過ごしている人は多くいます。しかし、ガタガタな前歯を放置していると見た目が悪く、第一印象に悪影響を与えるかもしれません。それだけでなく、ガタガタの歯並びを放置しているとさまざまな問題が起こってきます。

むし歯・歯周病リスクが上がる

平らな床とでこぼこしている床、どちらが掃除しやすいですか?おそらく平らな床の方が掃除しやすく、汚れも残さず取ることができるでしょう。でこぼこしている床は掃除しにくいだけでなく、凹凸の境目や溝に汚れが残りやすいです。

これと同じで、歯並びがガタガタしていると歯磨きが難しくなります。歯ブラシが隅々まで行き届きにくく、届いても歯垢(プラーク)が残りやすいです。これによりむし歯や歯周病にかかりやすくなり、口臭の原因になることもあります。

食事がしづらい

歯がガタガタしており噛み合わせが悪いと、食べ物を噛み切ったり噛み砕いたりすることが難しくなります。これにより食事に時間がかかったり、塊のまま飲み込むことで胃腸に負担がかかったりします。ガタガタの歯並びに慣れてしまっている場合は、歯並びを治した後、何となく食事がしやすかったり体調変化を感じたりするかもしれませんね。

歯科治療が難しくなる

先ほどの例で言うと、平らな床の一部を修理したり物を置いたりするのは簡単。しかしでこぼこしている床は凹凸に境目や溝などがあり修理は簡単にできません。またでこぼこの床に物を置くときは、バランスを考えながら置かなくてはいけませんね。

これと同じで、むし歯ができた場合などガタガタの歯並びでは歯科治療が難しくなります。ブリッジや入れ歯を入れても、他の歯とのバランスが取りづらく長持ちしない可能性が高いです。

ガタガタな前歯の治療方法

ガタガタの前歯の治し方はいくつか方法があります。

前方拡大

例えば前歯のうち数本は手前に傾いていて、他の歯は奥側(舌側)へ傾いている場合、奥側へ傾いている歯の傾きを修正することでガタガタを治すことができます。また上の前歯が手前の方に傾いていて、下の前歯はそうでない場合も、下の前歯を手前に傾かせることで上下の前歯のバランスを整えながらガタガタを治すことができます。

ただすでに全体的に歯が手前に傾いていたり、ガタガタが重度だったりすると前方拡大だけでは治すことができません。前方拡大する範囲によっては、矯正後に口元が突出したような外見になるリスクもあります。

側方拡大

奥歯の歯並びを横方向に広げることで、歯の並ぶスペースを確保しガタガタを治す方法です。歯の並ぶスペースが足りていないゆえ、ガタガタになっている場合に適しています。ただ拡大できる量が限られているため、他の方法と併用になることもしばしばあります。

側方拡大に使用する装置はさまざまですが、大幅な拡大には急速拡大装置が使われます。なお大人の歯並びでは数mmしか側方拡大ができないため、基本的には、今後の成長発達が見込める小児から中高生時までの方の歯並びに用いられる方法です。ちなみに、側方拡大以外の方法は、子どもでも大人でも効果的です。

遠心移動

歯の手前の面は近心(きんしん)、奥・後ろの面は遠心(えんしん)と呼ばれます。つまり「遠心移動」とは、歯を後ろ方向へ動かすことを言います。こうすることで前歯が並ぶためのスペースに余裕ができ、ガタガタを改善させられます。マウスピース矯正では、この遠心移動を特に得意としています。

IPR

歯と歯の間にわずかにスペース(すき間)を作る方法の1つで、歯と歯がとなりあう部分を専用の薄いヤスリで少しだけやすることでスペースを作ります。海外ではInter Proximal Reduction(IPR)と呼ばれる方法です。

歯の表面には、1~2㎜のエナメル質があり、このうち30%ほどを専用のヤスリで削ります。やする量はわずかですので、やすることでむし歯になりやすくなることはなく、歯の健康や寿命において問題のない安全な処置です。処置時に振動を感じますが、痛みはありません。やするのはほんの少しの量ですが、数本の歯に適用することでガタガタの歯並びを治すためのスペースが確保できます。

IPRは抜歯よりも負担がかかりにくく、矯正後の歯の並びも安定しやすくなるというメリットもあります。

抜歯

歯を並べるために、拡大やIPRだけではどうしてもスペースをつくれない場合があります。その場合、歯の横幅を計測し、必要な分を計算して、それに見合った歯を抜歯します。

抜歯は他の方法に比べ、多くのスペースを確保できます。ガタガタの歯並びを治すとき、抜歯する歯としてよく選ばれるのは第一小臼歯で、これは犬歯の後ろにいる歯です。第一小臼歯はおよそ7〜8mmの幅を持っているため、左右の第一小臼歯を抜歯すると14〜16mmのスペースを確保できることになります。逆に言うと、ガタガタの歯並びの中でも14〜16mmスペースが足りていない場合に適応となります。

健康な歯を抜くのに抵抗がある人も多くいます。しかしながら、抜歯をせずに無理に歯を移動すると、治療後に後戻りしやすくなったり、歯茎が下がったりすることがあります。どうしても抜歯を避けたい場合はその他の治療法も合わせてよく検討する必要があるでしょう。

前歯のガタガタは早いうちに治しておいた方が良い

前歯のガタガタは、歯や顎の大きさ、日頃の癖などさまざまな原因により起こることがわかりましたね。

前歯の並びが悪いと、目に見えて歯並び悪い印象があります。とはいえ、前歯の歯並びが悪くても奥歯のかみ合わせが正常だと、そのまま放置されててしまうことも少なくありません。

しかし、前歯の叢生により、虫歯や歯周病のリスクが高くなったり、そのほかの症状を引き起こしたりすることがあります。放置していると、いざ前歯の叢生の治療をするときに、健康な歯を抜かなければいけないこともあるでしょう。前歯のガタガタが気になる人は、早めに矯正治療を受けるのがおすすめです。

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