歯科矯正では基本的に保険が適用されませんが、歯並びやその原因によっては保険が適用されます。今回はいつ保険が適用されるのか、保険適用された場合の金額なども併せてご紹介します。
歯科矯正で保険が適用されない理由
基本的に保険が適用されるのは病気の治療をするときです。歯科矯正は病気ではなく見た目を良くするための治療と見なされているため、保険が適用されません。
歯並びが悪いと汚れが溜まりやすく、むし歯や歯周病になりやすくなるけど、それでも病気とは言えないの?
確かに歯並びやかみ合わせが良くないとむし歯や歯周病リスクは上がります。ただそれらは必ず発症するわけではありません。歯並びが悪くても、むし歯1本ない方も多くいます。そのため病気とは見なされず、歯科矯正は単に見た目や機能改善のための治療と見なされます。
逆を言えば歯科矯正でも、歯並びの原因が病気によるものなど、歯科矯正をすることが病気治療の一環と見なされれば保険が適用されます。
歯科矯正で保険が適用されるのはいつ?
具体的にどんなときに保険が使えるの?
歯科矯正で保険が適用されるのは、かみ合わせの異常の原因が以下のようなときです。
- 国の定めた病気が原因であるとき
- 永久歯の前歯が3本以上生えてこなかったことが原因であるとき
- 顎変形症が原因であるとき
いずれの場合も、一定の条件を満たした医療機関でのみ保険が適用されるため、あらかじめ調べてからかかると良いでしょう。
国の定めた病気が原因であるとき
【国の定めた病気の一例】
- 唇顎口蓋裂:唇や顎、上顎に裂け目がある病気
- ダウン症候群:染色体の異常により発育の遅れなどが見られる病気
- 筋ジストロフィー:遺伝子の異常により全身の筋肉が衰えていく病気
- 小舌症:舌が異常に小さい病気 など
その他合わせて50種以上の病気が、歯科矯正で保険が適用されるものとして挙げられます。これらに共通するのは顎やお口の形に奇形・変形を伴う先天性の病気であるということ。これらの病気が原因でかみ合わせに異常が出ていて、申請して認可されれば保険が適用されます。詳しくは日本矯正歯科学会のホームページをご覧ください。
永久歯の前歯が3本以上生えてこなかったことが原因であるとき
乳歯(子供の歯)が抜けてから永久歯(大人の歯)がなかなか生えてこない場合、歯ぐきの中に歯が埋まっている可能性があります。埋まっている歯を引き出すための手術や歯科矯正には保険が適用されますが、これは「埋伏歯開窓術」という手術が必要な場合のみです。永久歯の前歯が生えてこなかったとしても、その手術が必要と判断されなかった場合は保険が適用されません。
顎変形症が原因であるとき
顎変形症とは、上下の顎の骨そのものが大きなずれを起こしていて、かみ合わせが合わなかったり顔が非対称になったりする病気です。代表的な症状は出っ歯や受け口(しゃくれ)といった歯並びです。幼少期には問題がなくても、顎の成長に伴って見た目や話しづらさなどを感じることがあります。
顎変形症の場合、歯科矯正と併せて顎の骨を切る手術をした場合に保険が適用されます。
歯科矯正にかかる費用相場
基本的に保険が適用されない歯科矯正ですが、実際はどれくらいの費用がかかるのでしょうか?
ワイヤー・ブラケット矯正
ワイヤー・ブラケット矯正は、ブラケットと呼ばれる四角い装置とワイヤーを歯に固定し歯を動かしていく方法です。最も一般的な歯科矯正方法で、幅広い歯並びに対応できます。固定式であり装置が目立ちますが、本人の意図に関わらず短期間で確実に歯並びを治せます。費用相場はおよそ70〜120万円です。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明なマウスピースをはめることで力をかけ歯を動かしていく方法です。対応できる歯並びに限りがありますが、装置を自由に付け外しでき見た目が良いのが特徴です。費用相場はおよそ60〜100万円です。
裏側・舌側矯正
装置はワイヤー・ブラケット矯正と似ていますが、歯の裏側に装置を付けるのが裏側・舌側矯正です。ワイヤー・ブラケット矯正のように短期間で確実に歯並びを治せる上、装置がほとんど目立ちません。ただ慣れるまで食事や会話がしづらかったり、歯磨きが難しかったりするでしょう。費用相場はおよそ100〜170万円です。
インプラント矯正
顎の骨にネジのようなものを埋め込み、それを固定源として歯を動かしていく方法です。見た目はワイヤー・ブラケット矯正と似ています。固定源があることでしっかり力をかけられ、ワイヤー・ブラケット矯正よりも短期間で歯並びを治すことができます。なお歯がなくなったときに入れる「インプラント」とは全くの別物です。費用相場はおよそ1〜8万円/本です。
セラミックを被せて治す
「セラミック矯正」と呼ばれることもありますが、歯を削り、上からセラミックの被せ物をして歯並びが良くなったように見せる方法です。他の矯正方法のように実際に歯を動かすわけではないので、圧倒的短期間で歯並びを改善させることができます。ただ歯を大きく削るため、歯そのものの寿命が縮まる可能性があります。
透明感のあるものや自然でもともとの歯の色に近いもの、耐久性に優れているものなど、セラミックの被せ物にはさまざまな種類があります。費用相場はおよそ4〜15万円/本です。
手術で治す
ワイヤー・ブラケット矯正やマウスピース矯正だけでは治せなかったり、骨格自体を治す必要があったりする場合には手術を併用します。歯科矯正で保険が適用される顎変形症の治療では、手術の併用されることが多いです。装置を使ってある程度歯並びを治してから手術をし、落ち着いたらまた歯科矯正をするということもあります。
手術は全身麻酔をかけて行うため、入院が必要になります。費用相場はおよそ30〜60万円ですが、保険が適用されない場合は100万円を超えることも少なくありません。
歯科矯正の費用をできる限り抑える方法
保険適用にはならなそう・・・だけど安く歯並びを治したい!
歯科矯正では、特別な場合にのみ保険が適用されることがわかりました。保険が適用されないとなると、不安になるのはやはり費用面ですよね。歯科医院やクリニックによって料金設定は異なりますが、料金や価格で治療先を選ぶという方法以外にも、安く歯科矯正を行う方法はいくつかあります。
- 費用の安い矯正装置を選ぶ
- 医療費控除を利用する
- 高額医療費制度を利用する
①費用の安い矯正装置を選ぶ
歯科矯正にかかる費用は、もともとの歯並びだけでなくどの装置を選ぶかによっても変わってきます。例えば同じワイヤー・ブラケット矯正でも、金属でできた銀色の装置であれば費用を抑えられます。それに対して透明や白色の装置は見た目が良い分、費用は高価になります。またワイヤー・ブラケット矯正と見た目は似ていても、歯の裏側に装置を付ける裏側・舌側矯正では費用は高価になります。
②医療費控除を利用する
医療費控除とは、自分や家族(生計の同じ人)が1年間に支払った医療費を、その年の所得税から差し引くことができる制度です。治療費そのものを安くするというよりは、納税額を安くしてもらうことでトータル的に出費を抑えられるというイメージです。
医療費控除を受けるためには確定申告書の提出が必要です。少し手間がかかりますが、出費をできる限り抑えたいという方はぜひ利用すべきでしょう。詳しくは国税庁のホームページを確認してください。
③高額医療費制度を利用する
高額医療費制度は、医療費(自己負担額)が一定の金額を超えた場合、一部が払い戻される制度です。健康保険に入っていることが条件となり、申請書の提出が必要です。またいくら払い戻されるかは本人の所得によって変わってくるため、まずは健康保険協会のホームページを確認してみましょう。
まとめ
歯科矯正はやはり高額なイメージがありますよね。本日は、そんな歯科矯正の費用を少しでも抑えられる方法をご紹介しました。
中でも、歯科矯正の種類で何を選択するかによって、費用が大きく変わってくる場合があります。まずは、歯科クリニックに行って自分はどのような矯正方法が一番合っているのかをチェックしてみて下さいね!
DPEARLでも、初回カウンセリングを実施しています!少しでも歯科矯正に興味がある方はまずはいらしてみて下さいね。