大人と同様、子供の歯科矯正にはさまざまな方法があります。装置によって治せる歯並びは異なりますが、検討するにあたってそれぞれの特徴やメリット・デメリットを把握しておくと良いでしょう。
歯科矯正が必要になる子供の歯並び
そもそも歯科矯正が必要なのはどんな歯並び?
- 出っ歯
- 受け口・しゃくれ
- 開咬(かいこう)
- 叢生(そうせい) など
上下の歯を噛み合わせたとき、上の歯が下の歯に軽く覆いかぶさるようにして少し前に出ているのが正しい歯並びです。上の歯が下の歯よりも大きく前に出ている状態を「出っ歯」、下の歯が上の歯よりも前に出ている状態を「受け口・しゃくれ」、噛み合わせているのに上下の前歯の間に隙間がある状態を「開咬(かいこう)」、歯が綺麗に並んでおらず入り組んでいる状態を「叢生(そうせい)」と呼びます。いずれも見た目が良くないだけでなく、ものを上手く噛めなくなったり会話に影響が出たりします。
子供の歯科矯正方法・装置7選
子供の歯科矯正にはどんな方法があるの?
大人と似た装置を使う方法や、成長期の子供ならではの方法などいくつか種類があります。今回は子供の歯科矯正で代表的な装置・方法を解説します。
- 拡大床
- 急速拡大装置
- ムーシールド
- T4K
- リンガルアーチ
- ヘッドギア
- チンキャップ
なおそれぞれにかかる費用・値段は歯科医院によって異なります。装置だけの料金を提示していたり、治療費と装置代を合わせた料金を提示していたりさまざまです。あらかじめよく確認してから始めましょう。
拡大床
拡大床とは、付け外しが自由にできるプラスチックの装置です。装置にはネジが付いており、指示されたタイミングでネジを回します。これにより装置自体が横に広がり、その分あごにも力がかかって歯並び全体を広げていきます。歯並び全体が広がるとスペースに余裕ができ、歯が綺麗に並べるようになります。
メリット | 付け外しが自由にできるため、子供の協力を得やすく食事や歯磨きに影響を与えません。 |
デメリット | 装置を自由に付け外しができるため、指示された装着時間を守れないと矯正効果が得られません。治療期間は本人の頑張り次第となるため、必要性を理解してもらうことが重要です。 |
急速拡大装置
急速拡大装置も、拡大床のようにあご全体を大きくして歯の並ぶスペースを確保するためのものです。拡大床との違いは、付け外しが自由にできない固定式であるという点です。
メリット | 急速拡大装置は固定式のため、本人の頑張りに関係なく力をかけられます。ゆえに名前の通り早く、確実に矯正効果を得られます。 |
デメリット | 固定式であるため付けたばかりのころは違和感が強く、食事や会話がしづらいでしょう。また食べ物などが装置にひっかかりやすく、慣れるまで歯磨きが難しく感じるかもしれません。 |
ムーシールド
ムーシールドはマウスピースのような見た目の自由に付け外しができる装置で、受け口(反対咬合)の治療に使われます。歯を動かすというよりも、お口周りや舌の筋肉を整える目的で使用します。これにより筋肉のバランスを整え、受け口を治します。3歳ごろから使用できます。
メリット | 基本的に寝ている間に使用する装置のため、本人の負担が少なく協力を得やすいです。自由に付け外しができるので清潔を保ちやすく、痛みが出にくいのも嬉しい点ですね。 |
デメリット | 筋肉のバランスを整えるための装置であり、成長によっては歯並びが元に戻ってしまうことがあります。またムーシールドを付けるだけでなく、舌や口周りの筋肉トレーニングを積極的に行う必要があります。 |
T4K
T4Kもムーシールドのように、マウスピースと似た見た目の自由に付け外しができる装置です。ムーシールドと違い、6〜10歳の子供向けの装置です。
メリット | 自由に付け外しができるため矯正への協力が得やすいです。また食事や歯磨きにほとんど影響を与えず、本人への負担が少ないです。 |
デメリット | 自由に付け外しができるので、矯正効果は本人の頑張り次第となる点です。 |
リンガルアーチ
リンガルアーチは自分では付け外しができない固定式の装置です。ワイヤーを用いて歯に力をかけ歯並び全体を広げたり、歯並びから外れている歯を正しい位置へ押し戻したりします。
メリット | リンガルアーチは金属のワイヤーを使うものの、歯の裏側に付けるため周りに気付かれることがほとんどありません。またリンガルアーチは、1本だけ内側に入り込んでいる歯があるといった場合に特に効果を発揮します。 |
デメリット | 歯の裏側に付ける装置のため、慣れるまでは食事や会話がしづらいと感じるかもしれません。また固定式のため汚れが溜まりやすく、かつ歯磨きも注意深く行う必要があります。 |
ヘッドギア
ヘッドギアはお口の中に入れるのではなく、顔周りに取り付ける装置です。上あごが成長しすぎていることによる出っ歯の治療に使われます。装置で外から力をかけ、上あごの成長を抑えます。
メリット | ヘッドギアは基本的に寝ている間のみ使用するため、本人が見た目を気にすることは少ないでしょう。またお口の中に入れるわけではないので扱いやすく、協力も得やすいです。 |
デメリット | 慣れるまでは、装置を付けた状態で寝るのを嫌がる可能性があります。 |
チンキャップ
チンキャップはヘッドギアと同様、顔周りに取り付ける装置です。対応できる歯並びがヘッドギアと逆で、下あごが成長しすぎていることによる受け口の治療に使われます。
メリット | ヘッドギアと同様、自由に付け外しができお口の中に入れるものではないため、本人の協力を得やすいです。 |
デメリット | チンキャップは1日のうち10〜12時間ほど装着しなければいけません。そのため子供によっては就寝中だけでなく、家でテレビを見ている間や宿題をしている間など、外出や食事時以外は装着していなければなりません。 |
子供の歯科矯正の流れ
- カウンセリング
- 詳しい検査
- 治療方法の説明
- 歯科矯正開始
- 定期的な調整
- 歯科矯正終了
- 保定・メンテナンス
子供の歯科矯正では、まずカウンセリングで本人の希望やご両親の不安点などを伺い、併せて歯並びの状態や生え変わりの様子、骨格などについて詳しい検査を行います。具体的には歯の型取りや写真撮影、レントゲン撮影などを行います。
歯並びには骨格や歯の生える向きだけでなく、頬杖などの癖・生活習慣も影響してくるためそれらのチェックも行います。これらの検査結果をもとに、以下のような治療計画を立てていきます。
- どの装置で治していくか
- どのように歯を動かしていくか
- どれくらいの治療期間で行うか
- どれくらいの費用がかかるか など
本人やご両親の同意が得られたら、歯科矯正のスタートです。実際に装置を付け歯並びを治していきますが、装置が付いたら終わりではありません。矯正期間中は数週間〜1ヶ月に1回くらいの頻度で通院し、お口の中や装置の確認を行います。必要に応じて装置を調整したり新しいものに取り替えたりします。
また矯正装置が外れ矯正終了となっても、保定のためにリテーナーを付ける必要があります。保定とは歯科矯正で綺麗になった歯並びを維持することで、そのための装置がリテーナーです。リテーナーは矯正中使っていた装置よりも負担の少ないものであることがほとんどです。特に矯正が終了したばかりの頃は元の歯並びに戻りやすいため、必ず指示された時間リテーナーを付けるようにしましょう。
「矯正歯科」「小児歯科」どちらを選ぶべき?
以前から歯科検診などを受けているかかりつけの小児歯科がある場合は、まずはその歯科医院で診てもらうと良いでしょう。小児歯科専門の歯科医院であれば、歯並びに限らずむし歯や生え変わりの状況など、成長に合わせてトータルしたケアが受けられます。そのため歯科矯正を考えるときも、それまでの成長の様子を考慮しベストなタイミングで歯科矯正を始められることが多いです。
歯科医院にかかるタイミングや歯並びによっては矯正歯科を勧められることもあるかもしれません。何より歯科矯正は1年〜数年と長い期間がかかるもの。その上月に1回程度の通院があるため、通いやすい立地であったり本人やご両親が納得できる歯科医院を選ぶと良いでしょう。
いつから子供は歯科矯正ができる?
一般的には小学校1年生になる6〜7歳ごろが目安です。しかし子供の矯正では、その年齢で治療の必要性があるかどうか、また治療に対して本人の理解・協力が得られるかどうかなどを考慮し開始時期を決定します。気になった時点で一度歯科医院で診てもらうことをおすすめします。
なお乳歯(子供の歯)のみが生えている5歳くらいまでや、乳歯も永久歯(大人の歯)も生えている12歳くらいまでは、骨格の矯正が中心となります。あごの骨も身長や体重と同じように成長していくため、まずは骨格を整えつつ、成長が落ち着いたら歯そのものを動かして歯並びを整えていきます。歯を動かす段階になったら、大人の歯科矯正としても一般的なワイヤー・ブラケット矯正や、マウスピース矯正などを行います。
まとめ
いかがでしたか?今回は、子供の歯科矯正の方法や何歳ごろから矯正を始められるのかなどを解説していきました。
また、子供の悪い歯並びをそのまま放置してしまうと、様々な問題の原因となります。
「子供の歯並びは大丈夫かな?」「どのような矯正手法があっているのか分からない」など疑問を持った方は、まずはDPEARLの初回カウンセリングにお越しください。
ドクターがお子様の歯並びを見て、丁寧に診察させていただきます。お気軽にいらしてください。