アデノイド顔貌とは?横顔の特徴・口ゴボとの違い・主な治療法

自分の写真を見たふとした瞬間、「私って口元が出ている?」「顎がない…」と思ったことはありませんか?普段あまり自分では見えない横顔ですが、一度気づいてしまうと気になりだしますよね。

唇が突出していたり、下顎が後退気味であったりすることから、「自分はアデノイド顔貌なのでは?」と悩む人は少なくありません。

子どもに多く見られる特徴ですが、大人でもなり得るものでもあり、症状がひどい場合は治療の必要性があります。

この記事では、アデノイド肥大によって引き起こされるアデノイド顔貌の特徴や原因、口ゴボとの違いについて解説します。主な治療方法についても子ども・大人別に紹介しているため、アデノイド顔貌に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

アデノイド顔貌とは|横顔の特徴も

アデノイド顔貌イラスト

アデノイド顔貌とは、鼻の奥にあるアデノイド(咽頭扁桃)が肥大化により、口呼吸が習慣化することで変化した顔つきのことです。

アデノイド顔貌イラスト

アデノイドは、鼻と喉が繋がっている咽頭部分の上咽頭部にあるリンパ組織。天然フィルターとしての働きがあり、ウイルスや細菌が体内へ進入することを防ぎます。

アデノイド顔貌は、横顔も含め下記のような特徴があります。

  • 正面は面長(ロングフェイス)で鼻の下が伸びている
  • 上顎、下顎の横幅が狭い
  • 上顎の前歯が突出している
  • 唇が突出している
  • 歯並びが悪い
  • 唇が厚く乾燥し荒れている
  • 鼻通りが悪くいびきをかきやすい
  • 横顔は上顎に対して下顎が小さく後退している

アデノイド顔貌になる原因|口呼吸も関係あり

アデノイド顔貌は、アデノイド肥大による口呼吸の習慣化が原因とされていますが、要因は他にもあります。

アデノイド顔貌になりやすい原因は以下です。

  • アデノイド肥大
  • 口呼吸
  • アレルギー性鼻炎
  • 舌癖(舌突出癖)、異常嚥下癖
  • 指しゃぶりや爪を噛む癖

口呼吸の要因は、アデノイド肥大により鼻の通りが悪くなることのほか、鼻づまりも挙げられます。

口呼吸をすると、口がぽかんと空いた状態が続きます。口が空いた状態が続くと、唇の筋肉の緩みや口腔悪習癖を引き起こし、アデノイド顔貌と呼ばれる独特の顔つきになりやすくなります。

アデノイド顔貌と口ゴボ(出っ歯)の違い

口ゴボイラスト

口ゴボは、一般的に出っ歯の状態を指します。上下の唇が突出し、口元がもっこりとしていることから口ゴボと呼ばれますが、口ゴボは医学用語ではありません。専門用語では、上下顎前突や上顎前突と言われています。

アデノイド顔貌と口ゴボの違いは、下の通りです。

アデノイド顔貌口ボコ
唇が突出し、下顎が後退している唇が突出しているが、下顎は正常な位置にある

下顎の成長・発達が不十分で、下顎の位置が後退している場合は、アデノイド顔貌とされています。

「アデノイド肥大」は様々な症状を起こす可能性あり

アデノイド肥大は、鼻づまり・鼻声・口呼吸・いびきのほか、眠っているときに一時的に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群を起こすこともあるため、注意が必要です。

特に、乳児期は鼻呼吸ができないため充分にミルクが飲めず、栄養障害につながる可能性があります。また、鼻水の通りが悪いために、滲出性中耳炎になりやすい傾向もあり、軽度の難聴を引き起こすこともあります。

一般的には、幼少期をピークに体全体の免疫力が高まることで徐々に治まっていきますが、中学生や高校生の思春期になってもアデノイドが大きいままというケースも。

大きくなってもアデノイド肥大が見られる場合、成長障害や集中力低下のため学習障害が生じやすいです。重症の呼吸障害が起こると心臓にも負担がかかり、心不全や肺高血圧症といった重篤な合併症につながる可能性もあります。

【子ども・大人別】アデノイド顔貌の治療法

歯科医院

アデノイド顔貌を治す方法は、子どもと大人で異なります。

子どもは成長期にあり、骨も柔らかいため自力でアデノイド顔貌を改善できる可能性があります。また、治療の自由度も高く選択肢も豊富です。しかし、身長の伸びが止まるころには、顔の骨の成長も止まってしまいます。

そのため、高校生以降の大人は自力でアデノイド顔貌を改善することが難しく、症状に合った診療科や歯科医院、クリニックを選ぶ必要があります。

子どもの場合

子どもの場合、手術治療よりも保存的治療が主流。クリニックで行う具体的な治療方法としては、以下の3つが挙げられます。

アデノイド摘出手術(扁桃摘出術)
服薬で改善が見られない場合や気道を塞ぐような大きさの場合に行われる、切除手術による治療です。
口腔筋機能療法(MFT)
食べ物を噛む「咀嚼」・飲み込む「嚥下」・舌の突出(舌癖)などの改善を目的とした舌のトレーニングを行い、鼻呼吸を促します。成長過程の子どもはもちろん、大人にも効果的とされている治療方法です。
歯列矯正
ワイヤー矯正・マウスピース矯正を使用して歯並びを整えつつ、舌の位置や機能、正しい使い方を自然とマスターさせ、スムーズな鼻呼吸を目指す治療方法です。

大人の場合

個人差はありますが、大人の場合でも口の体操やマッサージで口呼吸や舌突出癖を改善できる可能性があります。口呼吸から鼻呼吸へ改善する方法としては、家にいながら自分でできる「あいうべ体操」が挙げられます。

あいうべ体操
あいうべ体操は、舌力をつけ、自然に口を閉じることができるようになる口の体操です。あいうべ体操は下記の流れで行います。
(1)「あー」と大きく口を開ける(2)口角を意識しながら、「いー」と大きく横に口を開ける(3)「うー」と口をしっかりとすぼめて前に突き出し、口周りの筋肉に力を入れる(4)「べー」と舌をしっかりと突き出して下に出す
※(1)~(4)で1セット、1日30セットが目安

なお、あいうべ体操による「口呼吸から鼻呼吸への改善」は、子どもにも一定の効果が期待できます。

ただし大人の場合は、口呼吸を鼻呼吸に改善しても、骨格が形成されてしまっているため、アデノイド顔貌そのものを改善することは困難です。大人がアデノイド顔貌を治すためには、まずは歯列矯正を行いましょう。

歯列矯正
口呼吸の原因に歯並びの悪さがあるなど、矯正で歯並びを整えることで口呼吸への改善が期待できる場合に選択肢のひとつとして挙げられる治療方法です。

歯列矯正だけでアデノイド顔貌が治らない場合は、根本的な骨格を変える外科手術や見た目を優先した美容外科治療という選択肢もあります。

顎骨体移動治療
抜歯をともなう外科的治療です。上顎骨体移動術や下顎骨体移動術、上下顎骨体移動術などがあり、咬合や顎の位置で手術方法が異なります。
美容整形治療
歯列は整っているものの、骨格に問題がある場合に行われる美容外科治療です。ヒアルロン酸やシリコンプロテーゼ挿入で顎を前に出します。ただし、ヒアルロン酸は徐々に体内に吸収されるため、数か月ごとの注入が必要です。

歯列矯正を行う場合は「全体矯正」がおすすめ

矯正用マウスピース

アデノイド顔貌を歯列矯正で改善したい場合は、上下顎のすべての歯並びを整えられる全顎矯正がおすすめです。全顎矯正とは、すべての歯に装置を装着して行う歯列矯正の一つで、全部矯正とも呼ばれています。

全顎矯正のメリットは、歯並びだけではなくかみ合わせも整えられること。また、歯並びが整えば歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病などのリスクを減らすことも期待できます。

全顎矯正にも種類がありますが、負担の少ない矯正治療を望む人には「マウスピース矯正」がおすすめです。3Dプリンターを活用した、透明で目立ちにくいマウスピースであれば、周囲の視線を気にすることなく矯正治療に臨むことができます。

まずはクリニックに相談を!

アデノイド顔貌とは、鼻の奥にあるアデノイド肥大によって形成された顔つき。アデノイド肥大にはいくつかの原因がありますが、特に口呼吸の習慣化が大きく関係しています。

アデノイド顔貌は、横から見ると下顎が後ろに下がっており、下顎の位置が正常な口ゴボとは横顔が異なります。

治療方法は年齢により異なりますが、鼻呼吸を促してアデノイド肥大を抑えることが重要です。アデノイド顔貌が気になる場合は、子どもも大人も負担が少ない歯列矯正を検討しましょう。

DPEARLでは、初回カウンセリングを実施しています。「歯科矯正に興味がある。」「自分がマウスピースで矯正できるか知りたい!」という方は、是非チェックしてみてくださいね!

タイトルとURLをコピーしました